令和7年度受賞者紹介
芸術選奨文部科学大臣賞
演劇部門

劇作家 齋藤 雅文(さいとう まさふみ)
伊納菊之助=市川染五郎 ©松竹株式会社
撮影・宮川舞子
- 「
木挽町 のあだ討ち」ほかの成果 - 劇団
新派 の座付 き作者から芸歴をスタートし、歌舞伎から現代劇まで幅広く手掛ける。同名小説が原作の「木挽町のあだ討ち」では脚本・演出として原作の味わいを損なわずに筋を通し、優れた群像劇に仕立てあげた。長く商業演劇に身を置く作者ならではの手腕が遺憾なく発揮された。小説「花と龍」の脚本では、原作の前半部分を換骨奪胎 し、人物が生き生きと動く作品に作り上げた。大劇場演劇の貴重な書き手として実績を積み、今後の活躍も期待される。
- 略歴
- 昭和29年東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒。同55年松竹傘下の劇団新派文芸部に入る。新派を中心に大劇場の現場から演劇を実践的に学ぶ。舞台監督、演出助手を経て平成元年御園座「藤のおもかげ(藤十郎の恋)」の脚本を執筆し、以降、新派や歌舞伎をはじめ商業演劇、ミュージカル等の脚本、作詞、演出に携わる。同7年「恋ぶみ屋一葉」で第2回読売演劇大賞最優秀作品賞受賞。「竜馬がゆく 立志篇」、「木挽町のあだ討ち」にて大谷竹次郎賞受賞。「演劇ユニット新派の子」を主宰、自主公演に挑戦している。
- 主な作品等
- 「恋ぶみ屋一葉」「マリー・アントワネット」「カエサル」「ニッポニア・ニッポン」「壬生義士伝」。新派「糸桜」「黒蜥蜴」「八つ墓村」「犬神家の一族」。歌舞伎「竜馬がゆく(三部作)」「夢の仲蔵千本桜」。青年座「千里眼の女」。ミュージカル「火の鳥」「ブッダ」「おもひでぽろぽろ」。
能楽師 味方 玄(みかた しずか)
令和7年5月 京都観世会館 撮影:芝田裕之
撮影:金の星写真場
- 「
三輪 白式神神楽 」ほかの成果 - 平成8年に始めた自主公演「テアトル・ノウ」が記念の50回目を迎え、「三輪」を、京都の片山家が創始した重い
小書 「白式神神楽」で上演した。白一色をまとう三輪明神 の姿は、品格と清浄な気に満ちていた。初期のころはホールや野外などで自由な演出に挑んだ自主公演であったが、近年は内面と自然な演技に重点を置く。他に能の演目「江口」など、本年の舞台はいずれも充実し、鍛えた技量と深い曲解釈とが高いレベルで交差した。講座、執筆などを通して能の魅力を広く発信してきた功績も大きい。
- 略歴
- 昭和41年京都府生まれ。能楽師・味方健の長男。初舞台は昭和46年「鞍馬天狗」。昭和61年に片山幽雪(人間国宝)に内弟子入門。平成3年に独立。平成13年に「京都市芸術新人賞」、平成16年に「京都府文化賞奨励賞」、令和4年に「第44回観世寿夫記念法政大学能楽賞」、令和5年に「京都府文化賞功労賞」受賞。平成30年に興福寺の中金堂落慶法要「菊慈童」奉納。主宰公演「テアトル・ノウ」は平成8年から毎年、京都と東京での公演を開催し続けている。平成23年に重要無形文化財(総合)認定。
- 主な作品等
- 「石橋」「道成寺」「翁」「望月」「安宅」「求塚」「正尊」「恋重荷」「砧」「定家」「卒都婆小町」などを開曲。復曲能「篁」ほか。(著書)「能へのいざない」。(テレビ)能楽入門番組「能三昧」全28回 監修、出演。新作能「待月」脚本、演出、主演。
映画部門
映画監督 吉田 大八(よしだ だいはち)
- 「敵」の成果
- 「敵」はコロナ禍の自粛期間中、吉田大八氏が筒井康隆氏の同名小説を自ら脚本化し、後に映画化した作品である。外から来る何かに
怯え るアイデンティティーのバルネラビリティ「vulnerability /脆弱性 」は今や国境を超え、現代人に突き付けられた命題であるが、吉田氏はモノクロームの映像で、極めて鋭く、容赦なく掘り下げた。カタルシスを排し、不安や虚無を残す終わり方がこの問題を簡単に解決できないものとして私たちに突き付けてくる。長編デビュー作以来、人が自身の倫理観、道徳観で揺れる瞬間を、批評性を持って描いてきた到達点として高く評価する。
- 略歴
- 昭和38年生まれ、鹿児島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後はCMディレクターとして活動。数本の短編を経て、平成19年「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で長編映画デビュー。第60回カンヌ国際映画祭批評家週間部門に選出された。同25年「桐島、部活やめるってよ」で第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞受賞。最新作「敵」は第37回東京国際映画祭において東京グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞の三冠に輝き、第80回毎日映画コンクールでは日本映画大賞を受賞。
- 主な作品等
- 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「クヒオ大佐」「パーマネント野ばら」「桐島、部活やめるってよ」「紙の月」「美しい星」「羊の木」「騙し絵の牙」

映画監督 李 相日(り さんいる)
- 「国宝」の成果
- 「国宝」は、歴代興行収入ランキングで22年ぶりに記録を塗り替え、邦画実写No.1作品となった。令和8年2月には200億を突破。現在もなお興行成績を更新中である。そうした数字の面だけではなく、女形としての才能を見いだされ歌舞伎の世界に入った主人公が、その家の御曹司と
切磋琢磨 の末、芸道に青春を捧げる吉田修一氏の原作を、氏が見事に映像化した。「フラガール」「悪人」と、着実にキャリアを積み重ねてきた氏の手腕は、大臣賞に相応 しい成果である。
- 略歴
- 大学卒業後、日本映画学校に入学し、映画を学ぶ。卒業制作として監督した「青chong」が、ぴあフィルムフェスティバルでグランプリ他4部門を受賞。その後も「フラガール」は文化庁芸術選奨新人賞、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞他4部門、「悪人」では第84回キネマ旬報日本映画ベストテン第一位など数々の国内の映画賞を受賞している。令和7年「国宝」は、カンヌ国際映画祭監督週間へ選出、アカデミー賞国際長編賞でショートリスト入りを果たし、国内興行収入で邦画実写新記録を樹立した。
- 主な作品等
- 「青 chong」「BORDER LINE」「69sixty nine」「スクラップ・ヘブン」「許されざる者」「怒り」「流浪の月」など
音楽部門
地歌箏曲演奏家 遠藤 千晶(えんどう ちあき)
- 「遠藤千晶
箏 リサイタル」の成果 - 全曲独奏曲による本演奏会は、選曲と楽器を隅々まで鳴り響かせる優れた演奏によって、
箏 という楽器の無限の可能性を示した。各作品を丁寧に把握し、その上での端正な演奏によって、作曲された時代も性格も全く異なる作品の魅力を引き出すことに成功している。特に終曲の「手事 」では、和洋の各要素をバランスよく表現し、そこに込められた立体的な音の構造を際立たせたことで、作曲者の意図に迫るものであった。
- 略歴
- 福島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修了。大学卒業時に卒業生代表として皇居内桃華楽堂で御前演奏を行った。平成14年第8回長谷検校記念全国邦楽コンクール最優秀賞及び文部科学大臣奨励賞。同19年「遠藤千晶箏リサイタル-挑み-」開催。同19年(第62回)文化庁芸術祭賞新人賞。同21年「遠藤千晶箏リサイタル 凜-soloist-」開催。同21年第13回日本伝統文化振興財団賞。同28年「遠藤千晶箏リサイタル-THE CONCERTO-」開催。同29年第38回松尾芸能賞新人賞。宮城社大師範。宮城合奏団団員。東京藝術大学非常勤講師。福島県しゃくなげ大使。
- 主な作品等
- (DVD) 「第13回日本伝統文化振興財団賞 遠藤千晶」「遠藤千晶×日本フィルハーモニー交響楽団-THE CONCERTO in Fukushima-」
(DVD・CD)「傳-つたえ-遠藤千晶箏リサイタル」「-brillante-遠藤千晶箏リサイタル」
(CD)「-THE CONCERTO-遠藤千晶箏リサイタル」「Koto Concertos CHIAKIENDO 遠藤千晶-箏協奏曲の軌跡-」
指揮者 山田 和樹(やまだ かずき)
住友生命いずみホール ©樋川智昭
提供:住友生命いずみホール
ロームシアター京都 メインホール ©佐々木卓男
- 「メンデルスゾーン―― 光のほうに」ほかの成果
- 令和7年の山田和樹氏の活動は、その見識と主張、音楽的内容の充実において
刮目 すべきものであった。バーミンガムを中心に海外での活動を主軸にしながらも、国内においても氏しかなし得ないプログラミングとその演奏内容の充実を示した。大阪の4つのオーケストラと、盟友である東京混声合唱団と展開したメンデルスゾーンの4回の演奏会の充実はその典型であり、日本フィルハーモニー交響楽団定期を含む11月末まで、その快進撃は続いた。
- 略歴
- 昭和54年神奈川県生まれ。平成21年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。同24年から6年間スイス・ロマンド管弦楽団首席客演指揮者を務め、現在、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、バーミンガム市交響楽団音楽監督の任にある。令和7年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団などにもデビュー。同8年秋、ベルリン・ドイツ交響楽団首席指揮者兼芸術監督に就任予定。国内楽団への客演も多く、音楽監督を務める東京混声合唱団や横浜シンフォニエッタとも意欲的に活動。同8年春、東京芸術劇場芸術監督(音楽部門)に就任する。
- 主な作品等
- (録音)サン=サーンス「デジャニール」(世界初録音/モンテカルロ・フィル)、「山田和樹アンセム・プロジェクト」(東京混声合唱団ほか)
(公演)團伊玖磨「夕鶴」(読売日本交響楽団)、三善晃《反戦三部作》(東京都交響楽団)、マーラー・ツィクルス(日本フィルハーモニー交響楽団)
舞踊部門
バレエダンサー 宮川 新大(みやがわ あらた)
- 「眠れる森の美女」「ザ・カブキ」ほかの成果
- 宮川新大氏は、所属する東京バレエ団で主要な役柄の多くを踊り、ゆるぎない技術とそこに立脚する気品ある物腰で注目されてきた。令和7年は古典名作「眠れる森の美女」の王子役でさらにその美点に磨きがかかり、またモーリス・ベジャール振付の「ザ・カブキ」では、削ぎ落とした感情の奥に静かな覚悟を宿した新世代のヒーローを造形。「ベジャールの「くるみ割り人形」」でも
闊達 でコミカルな猫役で新境地を開き、幅広い作品に対応する柔軟な表現力を示した。
- 略歴
- 福井県生まれ。6歳でバレエを始める。ジョン・クランコ・バレエ学校で学び、モスクワ音楽劇場バレエ、ロイヤル・ニュージーランド・バレエ団で活躍。平成24年ヴァルナ国際バレエコンクールで銀賞を受賞。同27年に東京バレエ団に入団、同30年プリンシパルに昇進した。令和6年にブノワ舞踊賞のガラ・コンサートにて「タリスマン」のパ・ド・ドゥを踊る。令和3年度文化庁芸術祭新人賞、同7年度福井新聞文化賞を受賞。
- 主な作品等
- ブルメイステル版「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」「ドン・キホーテ」「ラ・バヤデール」「海賊」「ジゼル」「ラ・シルフィード」、モーリス・ベジャール振付「くるみ割り人形」「M」「中国の不思議な役人」、金森穣振付「かぐや姫」ほか
舞踊家 森山 開次(もりやま かいじ)
©宮川舞子
©宮川舞子
- 「TRAIN TRAIN TRAIN」の成果
- 創造性に富んだ作品で知られるダンサー・振付家。東京2020パラリンピック開会式に関わったスタッフを中心に、新たなメンバーも加わって制作された舞台「TRAIN TRAIN TRAIN」では演出・振付を担当。不思議なSLに乗った詩人の旅を、様々なパフォーマーの声や身体表現に、演奏、映像、テキストも駆使し、視覚だけ、聴覚だけでも楽しめる舞台に仕上げた。多様な表現を統合する演出手腕を発揮するとともに変幻自在なソロも披露。振付、踊りの両面で高いレベルにあることを印象付けた。
- 略歴
- 昭和48年神奈川県生まれ。21歳でダンスを始め、平成17年、自身の演出・振付によるソロ作品「KATANA」で米ニューヨーク・タイムズ紙に「驚異のダンサー」と評され、ヴェネツィア・ビエンナーレに招聘される。能や雅楽など日本の伝統芸能からオペラ、バレエまで領域横断的な身体表現と演出を展開。同25年、「曼荼羅の宇宙」で芸術選奨新人賞受賞。同年、文化庁文化交流使。令和3年、東京2020パラリンピック開会式演出・チーフ振付を担当。
- 主な作品等
- (演出・振付・出演)「KATANA」「曼荼羅の宇宙」「星の王子さま」Kバレエ・オプト「踊る。遠野物語」、(演出・振付)新国立劇場バレエ団「竜宮」全国共同制作オペラ「ラ・ボエーム」東京2020パラリンピック開会式、(テレビ)「GIGAKU!踊れシルクロード」
文学部門
小説家 いしい しんじ
- 「チェロ湖」の成果
- 釣りをし、料理をし、音楽を聴き、土地のことばで語り合う。愛用の楽器を奏で、歴史に翻弄されながら生のバトンを次世代に手渡す。いしいしんじ氏は
大長篇 「チェロ湖」で、デジタル効率化に覆われる前の人間の営みを、五感で受けとり創りだすものへと再生させた。物語性では「古事記 」に、自然描写では「新古今和歌集 」にまでさかのぼる日本語による芸術表現の根を継いで、あらたな葉を繁らせ、見たことのない花を咲かせることに成功した。
- 略歴
- 昭和41年大阪府生まれ。平成6年「アムステルダムの犬」でデビュー。同15年「麦ふみクーツェ」で第18回坪田譲治文学賞、同24年「ある一日」で第29回織田作之助賞、同28年「悪声」で第4回河合隼雄物語賞を受賞。
- 主な作品等
- 「ぶらんこ乗り」「トリツカレ男」「プラネタリウムのふたご」「ポーの話」「みずうみ」「四とそれ以上の国」「港、モンテビデオ」「よはひ」「げんじものがたり」「息のかたち」ほか
小説家 堀江 敏幸(ほりえ としゆき)
- 「二月のつぎに七月が」の成果
- 堀江敏幸氏の「二月のつぎに七月が」は大衆食堂を舞台にした長編小説で、食堂関係者や常連客の交流をユーモアや哀感をまじえて繊細かつやわらかな筆致で描き出す。風味や調理法に限らず、
嗜好 、食べ方の癖、消化の悩みなど「食」の話題をふんだんに盛り込む一方、氏ならではの話法の効果もあって、人々の声や思いが網の目のように連鎖し、言葉の賑 わいが生み出される。心の傷や悔恨、不安、希望など生の有り様を多面的に慈愛とともにまとめあげる作家の卓越した技量が高く評価された。
- 略歴
- 昭和39年岐阜県生まれ。早稲田大学文学学術院教授。平成7年「郊外へ」でデビュー。同11年「おぱらばん」で第12回三島由紀夫賞、同13年「熊の敷石」で第124回芥川賞、同15年「スタンス・ドット」で第29回川端康成文学賞、同16年「雪沼とその周辺」で第8回木山捷平文学賞および第40回谷崎潤一郎賞、同18年「河岸忘日抄」で第57回読売文学賞小説賞、同24年「なずな」で第23回伊藤整文学賞、同28年「その姿の消し方」で第69回野間文芸賞を受賞。
- 主な作品等
- 「いつか王子駅で」「ゼラニウム」「未見坂」「回送電車」「燃焼のための習作」「書かれる手」「子午線を求めて」「めぐらし屋」「バン・マリーへの手紙」「正弦曲線」「戸惑う窓」「坂を見あげて」「曇天記」「傍らにいた人」「定形外郵便」「オールドレンズの神のもとで」
美術A部門
彫刻家 安藤 榮作(あんどう えいさく)
- 「安藤榮作-約束の船- The Promised Journey of Souls」展の成果
- 安藤榮作氏は、東日本大震災と福島第一原発事故を経て制作拠点を奈良に移し、生と死を根源的主題とする
木彫 表現を展開させてきた。地元の木材を用い、斧 による独特な技法で彫刻は生み出される。令和7年初秋、奈良県立美術館で開催された個展「約束の船」では、彫刻と平面を融合した大規模なインスタレーションを発表。深い精神性をたた湛えた作品群が美術館全体を通して、現代を生きる我々に魂の在 り処 を鋭く問い掛けた。その成果は、日本の現代彫刻に新たな可能性をもたらすものとして高く評価された。
- 略歴
- 昭和36年東京都生まれ。同61年東京芸術大学彫刻科卒業。平成2年福島県いわき市に移住。子育てと地域の活動をしながら彫刻とサーフィンに埋没する。同23年東日本大震災の津波で被災し、続く原発事故を機に奈良県に避難移住する。同29年第28回平櫛田中賞、同31年円空大賞展にて円空賞を受賞。斧一本であらゆる木を叩き刻み、原初的生命エネルギーの彫刻を創造し続けている。彫刻の他、パフォーマンスや他ジャンルとのコラボレーションアクションも展開している。
- 主な作品等
- 「光のさなぎ」「約束の船」「鳳凰」「魂の帰還」「磁力の核へ」「天と地の和解」「大地のひと」「Soul Life Spirit」
造形作家・批評家 岡﨑 乾二郎(おかざき けんじろう)
- 「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展の成果
- 造形芸術と批評を通じて世界の認識を洞察してきた岡﨑乾二郎氏。令和3年に脳梗塞を患い、造形作家としての「転回」を迎えた。東京都現代美術館での「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ TimeUnfolding Here」展では、転回以前の代表作を網羅しつつ、転回後の新作群を発表した。新作では、身体性を強く反映する粘土の仕事が印象深く、それらを3Dスキャナーで拡大した彫刻群は、巨大さと解像度の高い細部が両立した
稀有 な存在感に溢 れていた。新境地での一つの達成を讃 えつつ、更なる高みにも期待したい。
- 略歴
- 昭和30年東京都生まれ。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作、「なかつくに公園」(広島県庄原市)等のランドスケープデザインなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開。令和元年~2年に豊田市美術館で個展「視覚のカイソウ」、同7年に東京都現代美術館で大規模な個展「岡﨑乾二郎 而今而後ジコンジゴ Time Unfolding Here」が開催された。主著に「而今而後」(令和6年)「感覚のエデン」(同3年)「ルネサンス 経験の条件」(平成26年)「抽象の力」(同30年)。平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。
- 主な作品等
- 「あかさかみつけ」(レリーフ)シリーズ、三枚組絵画(以上国立国際美術館蔵)、二枚組絵画、セラミック彫刻、ゼロサムネイル絵画(以上東京国立近代美術館蔵)、「なかつくにリュケイオン」「ミルチス・マヂョル」
美術B部門

プロダクトデザイナー 深澤 直人(ふかさわ なおと)
フィラデルフィア美術館
撮影:川部米応
- 「Naoto Fukasawa Things in Themselves」展ほかの成果
- 深澤直人氏は、人間の行動に対する観察を丹念に行いながら、文化的脈絡や感覚的要素をも内包する環境をすくいとり、とらえにくい要素も統合する独自のデザイン活動を展開している。デザインの本質的意義を探りながら地歩を築いてきた活動は国際的にも注目を集め、令和7年度には、主要作品を通してその創造哲学を
俯瞰 できる展覧会が開催された。哲学者カントの概念をタイトルに掲げた同展では深い思索に裏打ちされた氏の姿勢が浮かび上がり、現代デザインに対する重要な示唆を改めて提示する機会ともなった。以上の成果と、継続されている真摯な活動の功績を併せ、高く評価する。
- 略歴
- 昭和31年山梨県生まれ。デザイナーの個性を主張するのではなく、生活者の視点に立って人の想いを可視化する静かで力のあるデザインに定評がある。日用品や電子精密機器からモビリティ、家具、インテリア、建築に至るまで幅広く手がけ、デザインを通して対象の本質にせまる力、その思想や表現は国内外で高い評価を得ている。英国王室芸術協会(RDI)の称号を持つ。German Design Award / Personality of the Year 2026など受賞歴多数。多摩美術大学副学長。日本民藝館館長。
- 主な作品等
- 「au Design project | KDDI/INFOBAR」 「無印良品/壁掛式CDプレーヤー」 「マルニ木工/HIROSHIMAアームチェア」 「B&B Italia/Shelf X」 「日立ビルシステム/HF-1(エレベーター)」 「ALESSI/ITSUMO」 「±0/加湿器」
メディア芸術部門

監督 鶴巻 和哉(つるまき かずや)
- 「
機動戦士 Gundam GQuuuuuuX 」ほかの成果 - 広い世代にファンを持つ「機動戦士ガンダム」の世界に、鶴巻和哉氏は「架空戦記」という切り口を持ち込み新風を吹き込んだ。原典からの「
本歌取 り」の妙と氏らしい世間に馴染 めない若者のドラマの二層構造。そこに華のある映像が融合した本作は、氏の新たな代表作である。劇場で先行上映されたTVシリーズ序盤は興行収入36億円超を記録。TV放送は、深夜0時過ぎの放送枠にもかかわらず、毎週SNS上で大きな反響を呼んだ。2020年代を代表する作品を送り出した業績をたた讃 えたい。
- 略歴
- スタジオジャイアンツでアニメーターとしてデビュー後、ガイナックスに移籍。監督や演出として活躍。テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」では副監督としてシリーズに貢献し、デザインや設定にも関わった。初の本格的なオリジナル作品であるOVA「フリクリ」や、「トップをねらえ2!」では、独特のキャラクターと世界観が多くのファンに支持された。令和3年公開の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」をはじめとする「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでは、監督を務めながら、画コンテやデザインワークスでも活躍。
- 主な作品等
- 映画「シン・ゴジラ」画コンテ、「日本アニメ(ーター)見本市 I can Friday by day!」監督・画コンテ、 MV「Beautiful World」(宇多田ヒカル)監督、「日本アニメ(ーター)見本市 龍の歯医者」アニメーション監督、映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ監督、OVA「トップをねらえ2!」原案・監督・画コンテ、OVA「フリクリ」原案・監督、テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」副監督、LD-BOX特典映像「新・トップをねらえ!科学講座」監督
漫画家 槇村 さとる(まきむら さとる)
©槇村さとる/集英社
- 「ダンシング・ゼネレーションsenior」の成果
- 画業52周年。今なお少女漫画の第一線で活躍する槇村氏。流行や価値観がめまぐるしく変わる中、時代に沿った等身大の女性を描き続けてきた。氏の描くヒロインたちは強く楽しくおしゃれに人生を開拓する。彼女らの姿は日本の女性たちの背中を押し、意識を押し上げてきた。現在「ココハナ」にて連載中の「ダンシング・ゼネレーションsenior」では更年期と社交ダンスをテーマに人生の
黄昏 においての豊かな生き方について描き、たくさんの読者の人生を豊かにしている。
- 略歴
- 昭和31年東京都生まれ。昭和48年「白い追憶」(別冊マーガレット)でデビュー。フィギュアスケートペア競技の世界を描いた「愛のアランフェス」、ジャズダンスを題材にした「ダンシング・ゼネレーション」で人気を獲得する。「別冊マーガレット」の看板漫画家として活躍し、「マーガレット」「YOUNG YOU」「コーラス」「ココハナ」(全て集英社刊)など多数のまんが雑誌に作品を発表。現在、「ココハナ」にて「ダンシング・ゼネレーションsenior」を連載中。
- 主な作品等
- 「N★Yバード」「白のファルーカ」「おいしい関係」「イマジン」「Do Da Dancinʼ!」「Real Clothes」「モーメント -永遠の一瞬-」
放送部門

演出家 柴田 岳志(しばた たけし)
- 『戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」』の成果
- 「八月の声を運ぶ男」は、千人以上の被爆者の声を録音した放送記者を主人公に、一人の被爆者の向こうに無数の被爆者の存在を浮かび上がらせる秀逸な作品。ほぼ会話だけで構成される難易度の高い物語が一瞬も目を離せない仕上がりになったのは、柴田岳志氏の熟練かつ卓抜した演出手腕によるものである。これまで数々の秀作を送り出してきた実績も踏まえ、新しい技術・手法を貪欲に吸収しながら、繊細かつ骨太なドラマを世に出し続ける演出家としての姿勢を高く評価する。
- 略歴
- 昭和33年生まれ。京都大学理学部(数学)卒業後、NHK入局。NHK、NHKエンタープライズでドラマの演出に携わる。「夏目漱石の妻」(平成28年)で文化庁芸術祭優秀作品賞、放送文化基金優秀作品賞・演出賞、「透明なゆりかご」(同30年)で芸術祭大賞、ATP賞グランプリ、「今ここにある危機とぼくの好感度について」(令和3年)で文化庁芸術祭大賞、放送人グランプリ大賞、「神の子はつぶやく」(同5年)で放送文化基金最優秀作品賞を受賞。同5年NHKエンタープライズとの契約を終了しフリーの演出家として活動する。
- 主な作品等
- (脚本・チーフ演出)スペシャルドラマ「坂の上の雲」、(演出)大河ドラマ「平清盛」「鬼と呼ばれた男~松永安左エ門」「みをつくし料理帖」「マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束」「空白を満たしなさい」「お別れホスピタル」ほか
ディレクター・プロデューサー 四元 良隆(よつもと よしたか)
©鹿児島テレビ放送
- 「負ケテタマルカ!!」「警察官の告白」の成果
- 息長く、へこたれず現実と向き合う意志が四元良隆氏の作品から迫ってくる。ディレクターとして20年にわたり難病の少年とその家族を見つめた「負ケテタマルカ!!」は、亡くなった我が子から、父と母が、生きることの希望を手渡されていく
稀有 な物語となった。また、プロデューサーを務めた「警察官の告白」は、鹿児島県警の不祥事隠蔽疑惑に丹念な取材で迫った。ある人物のインタビューに4か月をかけ、60本を越えるニュースなどを放送してドキュメンタリーにつなげた。その仕事は「故郷のために」テレビは何ができるのかという問いかけに貫かれている。
- 略歴
- 昭和46年鹿児島県生まれ。早稲田大学卒業後、平成6年鹿児島テレビ放送に入社。ディレクター、社会部キャップ、報道ニュースデスクを経て、現在ディレクター、プロデューサー。ドキュメンタリー「テレビで会えない芸人」(令和2年)、「負ケテタマルカ!!」(同7年)「警察官の告白―鹿児島県警情報漏洩事件を問う―」(同7年)などを制作。日本民間放送連盟賞最優秀賞、ギャラクシー賞優秀賞、放送文化基金賞優秀賞、地方の時代映像祭優秀賞、日本ジャーナリスト会議JCJ賞、日本医学ジャーナリスト協会賞など受賞している。
- 主な作品等
- (鹿児島テレビドキュメンタリー)「そこに楽園は無かった~ドミニカ移民 苦闘の半世紀~」「私たちは日本人です-ドミニカ移民 50年の叫び-」「ママとぼくと信作と~命と向き合った家族の10年~」「エジソンの町工場」「20年目の花火」「いのちのとりで」、(映画)「テレビで会えない芸人」ほか
大衆芸能部門
音楽家 大貫 妙子(おおぬき たえこ)
- 「ピーターと仲間たち 2025」ほかの成果
- シュガーベイブの「SONGS」がリリースされてから50年。ソロ・アルバム「サンシャワー」「ミニヨン」といった初期ソロ作品が、海外で再評価され、世界的なシティポップ・ブームの立役者の一人である大貫妙子氏は、デビュー50周年を迎えた。令和5年から「ピーターと仲間たち」という発表当時のオリジナル音源に忠実なサウンドや、シークェンサー、シンセサイザーを使用した楽曲を中心としたコンサートもスタートさせ、活発に音楽活動を展開。日本のポップス界を
牽引 しつづけている。
- 略歴
- 山下達郎らと「シュガー・ベイブ」を結成し、昭和50年「SONGS」でデビュー。同年にソロへ転じ、以降これまでに27枚のオリジナル・アルバムを発表。バンド編成のポップスからエレクトロニック、ヨーロピアン/ブラジリアン、弦楽四重奏、フル・オーケストラに至るまで、多彩な手法で表現を広げてきた。坂本龍一とのコラボレーションも高い評価を得る。近年は「4:00 A.M.」「都会」など70年代作品が世界的に再評価され、ライブも多様な形で継続している。
- 主な作品等
- シュガー・ベイブ「SONGS」、ソロアルバム「SUNSHOWER」「MIGNONNE」「Cliché」「LUCY」、映画音楽「東京日和」、コラボレーションアルバム「A PROJECT OF TAEKO ONUKI & RYUICHI SAKAMOTO「UTAU」」ほか
タレント 清水 ミチコ(しみず みちこ)
- 「清水ミチコ万博 ~ひとりPARADE~」の成果
- ラジオ番組へのネタ投稿をきっかけに才能を開花させ、軽快なトーク、得意なピアノを
活 かした弾き語りものまね、さらには芸能人や文化人など人を選ばず特徴をデフォルメした顔まねと、テレビ・ラジオでのタレント活動とともに、芸域を拡 げてきた。平成25年に始まった日本武道館ライブは、音楽的にもクオリティーの高い内容で、全国ツアーとともに「音楽とお笑いの融合」は大人のエンターテインメントとして唯一無二の芸を確立させた。
- 略歴
- 昭和35年岐阜県生まれ。学生時代よりラジオ「オールナイト・ニッポン」、雑誌「ビックリハウス」等に投稿。同58年、ラジオ番組の構成作家を始める。翌年からはテレビCMの声のキャラクターを務め始める。同61年、渋谷ジァン・ジァンにて初ライブ。翌62年、フジテレビ系『「笑っていいとも!」レギュラーとして全国区デビュー。同年12月「幸せの骨頂」でCDデビュー。翌63年スタートの「夢で逢えたら」にレギュラー出演、「伊集院ミドリ」のキャラクターが大ブレイク。以後、独特のモノマネと上質な音楽パロディで注目され、テレビ、ラジオ、映画、執筆、CD制作等、幅広い分野で活躍中。新春の日本武道館単独公演は恒例となっている。
- 主な作品等
- (CD)「Miss Voices」「清水ミチコ物語」「趣味の演芸」 (DVD)「清水ミチコのお楽しみ会」「私という他人」 (著書)「顔マネ辞典」「私のテレビ日記」「カニカマ人生論」「時をかける情緒~まぁいいさ~」 (ライブ)「清水ミチコのHAPPY PARADISE」ほか
芸術振興部門
さっぽろ天神山アートスタジオAIR ディレクター 小田井 真美(おだい まみ)
- さっぽろ天神山アートスタジオでの活動ほかの成果
- さっぽろ天神山アートスタジオのAIRディレクターとして、長年にわたり日本におけるアーティスト・イン・レジデンスの発展と定着を
牽引 してきた第一人者である。創作現場に寄り添う運営を通じて、地域社会・行政・国際ネットワークを結ぶ基盤を築き、草の根の国際相互理解を促進してきた。さらにAIRネットワークジャパン等、同業者ネットワークの場での対話を通じ、各地の取組の要となる役割を果たしつつ、日本のAIRの信頼性を国際的に高めた功績は大きい。
- 略歴
- 昭和41年広島県生まれ。武蔵野美術短期大学、女子美術大学卒業。P3 art and environment(東京)で現代美術作家のプロジェクトを知り、自身でLOOK AT MUSIC名義の事業企画・運営を始め、アートイベントBONUSを東京大学駒場寮南食堂、中之島公会堂(大阪)、アップリンク(東京)等で実施。3 ART PROJECT(東京)以降、アーティストとの協働で多岐にわたる活動を行う。国際芸術祭事務局を経て、平成15年からAIR事業とその環境等、文化芸術活動の営みを支えるインフラ「機能/しくみ/状況」の開発と整備、調査に取り組みながら、AIR事業設計、運営現場に携わる。
- 主な作品等
- 平成13年北海道移住より、国際現代アート展デメーテル、NPO法人S-AIR、アーティスト・イン・スクール、Sapporo2 Project、Trans Artists(オランダ)、アーカスプロジェクトいばらき(茨城県)、札幌国際芸術祭実行委員会ほか
弁護士 福井 健策(ふくい けんさく)
- 文化芸術における著作権を通した基盤整備の推進の成果
- 福井健策氏は、著作権法を専門とする弁護士として、幅広い文化芸術分野の基盤整備に長年貢献してきた。とりわけ舞台芸術や映像作品の記録保存を可能にする権利処理の体系化を主導し、作品のアーカイブ化を大きく前進させた点は高く評価される。令和7年は特に、「エンタテインメント法実務 第2版」(編著)の出版や現場での知識普及活動を通じ、将来にわたる文化資源の継承と活用に不可欠な基礎を築いた。さらに政策形成や生成AIと著作権をめぐる議論にも尽力し、文化芸術支援の発展に寄与した。
- 略歴
- 昭和40年生まれ、神奈川県出身。日本及びニューヨーク州弁護士。骨董通り法律事務所for the Arts代表。東京大学法学部卒。米国コロンビア大学法学修士(セゾン文化財団スカラシップ)。エンタテインメント法・著作権法を専門とし、映像、マンガ、舞台、音楽、美術など多くのクリエイターや文化芸術団体を法的にサポートする。日本大学芸術学部・神戸大学大学院・芸術文化観光専門職大学客員教授。内閣府知財本部・文化審議会ほか委員、デジタルアーカイブ学会副会長、EPAD代表理事、日本舞台芸術ネットワーク常任理事、日本文学振興会評議員。
- 主な作品等
- 「改訂版 著作権とは何か」、「18 歳の著作権入門」、「誰が知を独占するのか」、「エンタテインメントと著作権」全 5 巻(編著)、「エンタテインメント法実務」(編著)、「ロボット・AI と法」(共著)ほか
評論部門

慶應義塾大学教授 大出 敦(おおで あつし)
- 「余白の
形而上学 ポール・クローデルと日本思想」の成果 - ポール・クローデル。近代フランスの大文学者。外交官でもあった。1920年代には駐日大使を務めてもいる。はて、熱烈なカトリック信者のクローデルと、
八百万 の神々の日本はどこまで切り結べたのか。難問だった。が、ついに魅力的突破口が示された。大出敦氏の細密な研究の上に大胆な議論が展開される。クローデルが惹 かれたのは平田篤胤 の国学や能や水墨画。不可知の何かの存在を示唆したいものばかりだ。一方、キリスト教の神学とは語り得ぬ神の存在を示唆しようとする。余白か黒塗りのある形而上学だ。この交差からクローデルの文学は読み直されるであろう。日本発の偉大な成果である。
- 略歴
- 昭和42年栃木県生まれ。筑波大学大学院文芸・言語研究科各国文学(フランス文学)後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学法学部教授。これまで、19世紀フランスの象徴主義文学を代表する詩人・文学者であるステファヌ・マラルメとポール・クローデルが同時代の言語学、宗教、哲学などとどのように対峙し、作品に反映させてきたのかということを考えてきた。現在は、マラルメ、クローデル、ハーンなど西洋の文学者が、仏教、老荘思想、日本の神観念をどのように捉えていたのかということに関心がある。
- 主な作品等
- (単著)Claudel, cette figure littéraire aux multiples facettes、「クリティカル・リーディング入門」「プレゼンテーション入門」
(編著)「マラルメの現在」「ポール・クローデル 日本への眼差し」「クローデルとその時代」

建築史家・神奈川大学教授 松隈 洋(まつくま ひろし)
- 「未完の建築前川國男論・戦後編」の成果
- 本書は20世紀の日本を代表する建築家・
前川國男 に関する非常に充実したモノグラフである。松隈洋氏は前川の戦前の仕事を論じた前著「建築の前夜 前川國男論」の問題意識を継承し、本書で前川の戦後の重要な仕事を余すことなく論じた。多くの作品を実見し、膨大な記録を参照して書かれた本書の根底には、晩年の前川に師事した氏ならではの深い理解と共感があり、また同時に前川國男という一人の人間が生きた時代の詳細な記録ともなっている。
- 略歴
- 昭和32年兵庫県生まれ。同55年京都大学工学部建築学科卒業、前川國男建築設計事務所入所。平成12年京都工芸繊維大学助教授。同20年同教授、令和5年4月から京都工芸繊維大学名誉教授・神奈川大学教授。京都芸術大学客員教授。工学博士(東京大学)。専門は近代建築史、建築設計論。「生誕100年・前川國男建築展」、「文化遺産としてのモダニズム建築―DOCOMOMO20選」展、「同100選」展の他に、A・レーモンド、坂倉準三、白井晟一、丹下健三、村野藤吾、谷口吉郎・谷口吉生、大髙正人など、多くの建築展に携わる。令和元年「建築の前夜 前川國男論」により日本建築学会賞(論文)、同7年「未完の建築 前川國男論・戦後編」により第79回毎日出版文化賞〈人文・社会部門〉
- 主な作品等
- (単書)「ル・コルビュジエから遠く離れて」「モダニズム建築紀行」「ルイス・カーン」「近代建築を記憶する」「坂倉準三とはだれか」「建築家・坂倉準三「輝く都市」をめざして」「残すべき建築」、(編著)「前川國男 現代との対話」、(共著)「建築家 大髙正人の仕事」ほか
芸術選奨文部科学大臣新人賞
演劇部門

歌舞伎俳優 尾上 右近(おのえ うこん)
©松竹
©研の會
- 「
春興鏡獅子 」ほかの成果 - 役者絵から抜け出たような古風な容姿と、もう一つの顔、
清元 の唄方 「栄寿太夫 」として鍛えた声調 、そして規矩 正しい踊りの才幹 が存分に花開いた令和7年だった。「春興鏡獅子」の可憐 な小姓弥生 と荒ぶる獅子。どこか童話の主人公のような懐かしさのある「義経千本桜 」の狐忠信 、そして自身の勉強会で演じた「盲目の弟」角蔵 は、いずれも曾祖父で六代目の尾上菊五郎 が手掛けたもの。伝統を現代へという気概、新作への意欲など、次代の歌舞伎を牽引 する一人だ。
- 略歴
- 平成4年東京都生まれ。曽祖父は六代目尾上菊五郎。7歳で初舞台。踊りの名手として12歳で二代目尾上右近を襲名。同30年に清元唄方の名跡「七代目清元栄寿太夫」を襲名。歌舞伎界の二刀流として活動を始める。雑誌連載やミュージカル「ジャージー・ボーイズ」、大河ドラマ「豊臣兄弟!」などの俳優業、映画「ライオン・キング:ムファサ」の声優業など活躍は多岐に渡る。歌舞伎では古典、新作問わず実力を発揮し、近年主演を重ねている。映画「燃えよ剣」で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。
- 主な作品等
- 「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース」「ジャージー・ボーイズ」「衛生」「弁天娘女男白浪」「仮名手本忠臣蔵」「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」「河庄」「十一人の賊軍」「京鹿子娘道成寺」「東海道四谷怪談」「二人椀久」「ライオン・キング:ムファサ」「蜘蛛絲梓弦」「曽根崎心中」
俳優 望海 風斗(のぞみ ふうと)
- 「マスタークラス」「エリザベート」の成果
- トップスターとして活躍した宝塚歌劇団を退団して5年。数々の話題作に主演し、舞台のトップ女優の地位を確立しつつある。「マスタークラス」では伝説的なオペラ歌手マリア・カラスを
彷彿 させる圧倒的な存在感で魅了した。「エリザベート」では16歳のお転婆少女から悲劇的な死を迎える晩年まで皇后の葛藤と孤独を優れた演技力と卓越した歌唱力で丁寧に演じ、初演から25年の超人気作のヒロイン像に確かな足跡を残した。
- 略歴
- 昭和58年神奈川県生まれ。平成15年宝塚歌劇団に入団。同29年に雪組トップスターに就任。「ファントム」、「fff-フォルティッシッシモ-」等に出演した後、令和3年に退団。退団後まもなく出演した「next to normal」、「ガイズ&ドールズ」にて第30回読売演劇大賞優秀女優賞、「ドリームガールズ」も含め第48回菊田一夫演劇賞を受賞。令和7年出演の「マスタークラス」、「エリザベート」で第33回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。大劇場でのソロコンサートの開催やアルバムのリリース等、演技、歌ともに精力的に活動。
- 主な作品等
- (舞台)ミュージカル「INTO THE WOODS」「イザボー」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」、(ドラマ)「橋ものがたり 約束」「べらぼう」「誘拐の日」「あおぞらビール」「殺した夫が帰ってきました」、(音楽)ドラマティックコンサート「Look at Me」「Hello」、アルバム「笑顔の場所」
映画部門

映画監督 石川 慶(いしかわ けい)
- 「遠い山なみの光」の成果
- 石川慶氏の映画は、映像の力と観客を信じている。引いた風景の中での芝居、テレビに映るニュース、棚に置かれた花、食卓にこぼれる陽光。それら全てをもって大いなる生を語る。一瞬たりとも目を離せない。映画「遠い山なみの光」では、様々な光を生活空間に反射させ、小説家カズオ・イシグロの記憶に基づき、原爆復興期の1950年代の長崎と1980年代の英国を描いた。女性たちの記憶のリフレクションは、愛おしくも当たり前ではない日常の概念を際立たせた。
- 略歴
- 昭和52年愛知県生まれ。東北大学物理学科卒業後、ポーランド国立映画大学で演出を学ぶ。「愚行録」(平成29年) が、ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門に選出されたほか、新藤兼人賞銀賞、ヨコハマ映画祭新人監督賞など受賞。「蜜蜂と遠雷」(同31年) では、毎日映画コンクール日本映画大賞、日本アカデミー賞優秀作品賞など受賞。「ある男」(令和4年) は、ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門、釜山国際映画祭ではクロージングに選出され、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む最多8冠を飾るなど、国内外から大きな注目を集めた。
- 主な作品等
- 「愚行録」「蜜蜂と遠雷」「Arc アーク」「ある男」ほか
俳優 広瀬 すず(ひろせ すず)
- 「ゆきてかへらぬ」「遠い山なみの光」「宝島」ほかの成果
- 広瀬すず氏は、13年ほどのキャリアを持ち、既に国民的な俳優と言える確かな地歩を築いている。主演の2作「ゆきてかへらぬ」「遠い山なみの光」を含む出演作では、奔放な女優から貞淑な妻までそれぞれに異なる難役を実に表現豊かに演じた。これまでに発揮してきた
瑞々 しさや自然体の魅力から一層飛躍し、その演技はより成熟と深みを増して、スクリーンを彩っている。氏にとって今後のさらなる活躍が期待される充実した年となった。
- 略歴
- 平成10年静岡県生まれ。同24年に雑誌「Seventeen」でデビュー後、数々の映画、ドラマに出演。同28年に映画「海街diary」で第39回日本アカデミー賞などの映画賞で数々の新人賞を受賞。同30年に映画「三度目の殺人」で第41回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。令和元年の初舞台「Q:A Night At The Kabuki」では第54回紀伊國屋演劇賞・個人賞を最年少で受賞した。
- 主な作品等
- (映画)「ちはやふる」シリーズ 「怒り」「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」「ラストレター」「流浪の月」「キリエのうた」、(テレビ)連続テレビ小説「なつぞら」、(配信ドラマ)「阿修羅のごとく」、(舞台)「華氏マイナス320°」
音楽部門
弦楽四重奏団 クァルテット・インテグラ
三澤 響果(みさわ きょうか)
菊野 凜太郎(きくの りんたろう)
山本 一輝(やまもと いつき)
パク・イェウン
- 「クァルテット・インテグラ II」ほかの成果
- 西洋音楽の基本形態ともいうべき弦楽四重奏。これに継続的に取り組み目覚ましい成果を上げている若い世代が、近年我が国で多くみられる。中でもクァルテット・インテグラは、アンサンブルの緊密さ、解釈の清新さと大胆さにおいて一頭地を抜いている。そのことを、難度の高いバルトーク、ヤナーチェク、ベルクの作品を合わせた一夜で、まざまざと見せつけた。結成10年を迎えた令和7年は、ベートーヴェン・ツィクルスをも開始し、知的に練られた演奏を聴かせた。日本発の弦楽四重奏団として、今後、必ずや世界の第一線で活躍するであろう。
- 略歴
- 豊かな音色と緻密なアンサンブルで国際的に注目を集める弦楽四重奏団。平成27年に桐朋学園高等学校音楽科で結成。ARDミュンヘン国際音楽コンクール、ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールなど、主要国際コンクールでの受賞を重ね、着実に評価を高めている。レパートリーはハイドンから現代曲まで幅広く、古典と現代を架橋するプログラミングを特長とし、世界的音楽家との共演も重ねている。国内ではトッパンホールなどで定期リサイタルを開催し、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の全曲演奏に取り組んでいる。近年はハイデルベルク音楽祭などヨーロッパの主要音楽祭に招かれ、国際的な活動を拡大している。
- 主な作品等
- (録音)「ハイドン 弦楽四重奏曲〈5度〉/ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第3番」(公演)シリーズ「シューベルトとウェーベルン」、ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲演奏会
地歌箏曲演奏家・作曲家 中井 智弥(なかい ともや)
- 「中井智弥
箏 ・二十五絃箏 リサイタル2025」ほかの成果 - 中井智弥氏の第12回リサイタルでは、
箏 ・三絃 ・二十五絃箏 の演奏家および作曲家として、古典を意識しつつ新生面を切り開く多彩な活動の成果が示された。古典曲「秋風の曲」の演奏には確かな技量のなかに瑞々 しさがあり、歌舞伎「刀剣乱舞 東鑑雪魔縁 」のテーマ曲をはじめ、次々に披露された自作曲の音楽性と演奏にも輝きがあった。ART歌舞伎の音楽や多様なジャンルの演奏家との共演など、多方面に躍進し、観客を魅了する彼の活動は、「時をこえて」というリサイタルの副題に象徴されるように、未来につながる新しい風として高く評価できる。
- 略歴
- 昭和54年三重県生まれ。6歳の時に箏と出会う。東京藝術大学音楽学部邦楽科卒業。箏・地歌三絃の演奏も行いつつ、音域を広げた二十五絃箏の演奏を中心に活動。神話・文学作品・能等を題材に新しい感覚で作曲し、様々なジャンルと共演を行なっている。新作歌舞伎・朗読劇・ミュージカル・舞踊公演などの音楽制作を担当。外務省より文化使節としてタイ・ベトナムに派遣、日メコン交流年オープニングイベントに出演。日本・スウェーデン外交関係樹立150周年記念イベントに出演しオープニングコンサートを飾る。第24回三重県文化功労賞受賞。
- 主な作品等
- 「中井智弥 箏・二十五絃箏リサイタル三重・東京公演」「歌舞伎刀剣乱舞「月刀剣縁桐」「東鑑雪魔縁」」「詩楽劇めいぼく源氏物語「夢の浮橋」「沙羅の光」」「ART歌舞伎「花のこころ」」「朗読×和楽器「天守物語」」「琉球古典芸能と二十五絃箏の出会い「琉球恋慕」」
舞踊部門
バレエダンサー 岩井 優花(いわい ゆか)
- 「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」ほかの成果
- 令和6年末にプリンシパルへ昇進し、同7年においては古典全幕やガラ公演において
八面六臂 の活躍を見せた。「白鳥の湖」ではオデット/オディール、「ドン・キホーテ」では快活な町娘キトリと夢幻的な森の女王と、性格の異なる大役をいずれも見事に務め上げた。高度な技術と豊かな音楽性を融合させ、役に命を吹き込む表現力は、ドラマティックな熊川版バレエの表現者として大きな成果を挙げ、今後も更なる飛躍が期待される。
- 略歴
- 岩手県生まれ。4歳よりバレエを始める。平成26年より米国ジョフリー・バレエのトレイニープログラムで学ぶ。同27年より同スタジオカンパニーに所属。同28年ユース・アメリカ・グランプリ ニューヨーク決選TOP12。同29年ジョフリー・バレエに入団。令和3年4月Kバレエ カンパニー(現Kバレエ トウキョウ)にソリストとして入団。同4年9月ファースト・ソリスト、同5年11月プリンシパル・ソリスト、同6年12月プリンシパルに昇格。
- 主な作品等
- 熊川版「眠れる森の美女」のオーロラ姫、「ロミオとジュリエット」のジュリエット、「くるみ割り人形」のマリー姫、「ラ・バヤデール」のニキヤ、「ジゼル」「シンデレラ」のタイトルロール、「海賊」のグルナーラ、熊川振付「蝶々夫人」「マーメイド」のタイトルロールほか
日本舞踊家・振付家 花柳 壽輔(はなやぎ じゅすけ)
- 「
茨木 」「夢殿 」ほかの成果 - 花柳流の当代家元として、三日間にわたる大規模な先代・先々代の追善舞踊会を主宰し、流派の大切な演目の数々に取り組み、旺盛な実践力を示した。とりわけ、難曲である初代花柳壽輔振付「茨木」に30代という若さで挑み、今の年齢に
相応 しい調和でまとめあげたのが出色であった。また二代目花柳壽輔振付「夢殿」ではその精髄を確かに継承し、細部まで丁寧に表現していた。これらの成果は、次代の日本舞踊界を牽引 する将来性を十分に示すものであり、今後一層の期待が寄せられる。
- 略歴
- 平成4年東京生まれ。2歳から三代目壽輔、祖父である五代目芳次郎(後の四代目壽輔)の元で舞踊の道を歩み始め同9年4歳の時に初舞台を踏む。同19年に六代目花柳芳次郎を歌舞伎座で襲名。以降は花柳流の代表作品に積極的に取り組むようになる。早稲田大学を卒業し、同28年五世宗家家元 花柳壽輔を襲名。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の会議に有識者として参加。花柳流による各地での公演や海外での公演に出演するなど精力的に活動し、歌舞伎や宝塚歌劇団などで振付も行なっている。
- 主な作品等
- 「土蜘」「船弁慶」「連獅子」「小鍛冶」「独楽」「松廼羽衣」「時雨西行」「菊慈童」「若菜摘」「紀州道成寺」「操り三番叟」「保名」「将門」「関の扉」「隅田川」「正札附」「鶴亀」
坂東玉三郎×鼓童 特別公演「幽玄」ほか
文学部門
小説家 朝比奈 秋(あさひな あき)
- 「受け手のいない祈り」の成果
- 「受け手のいない祈り」は、緊急外来病棟を舞台に、過酷な医療現場の現実を克明に描いた作品である。
瀕死 の患者と対峙 する緊迫した描写に加え、心身共に疲弊する医療従事者たちの救いのない絶望を冷徹な筆致で描き切る。「命を救う者が、自らの命を失う」という現代日本の矛盾を鋭く抉 抉り出す、その圧倒的なリアリズムと筆力は、芸術選奨新人賞にふさわしい。
- 略歴
- 昭和56年京都府生まれ。医師として勤務しながら小説を執筆し、令和3年、「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞しデビュー。同5年、「植物少女」で第36回三島由紀夫賞を受賞。同年、「あなたの燃える左手で』で第51回泉鏡花文学賞と第45回野間文芸新人賞を受賞。同6年、「サンショウウオの四十九日」で第171回芥川龍之介賞を受賞。
- 主な作品等
- 「私の盲端」「魚類譚」「雪の残照」「ネオン魚群」「垂直方向へ」ほか
俳人 大塚 凱(おおつか がい)
- 「
或 」の成果 - 大塚凱句集「或」は、現代に生きる若者の実感をたしかに捉えている。「着ぶくれて似てゐる午後をくりかへす」。厚着をして感覚が鈍っているせいもあって、驚きに満ちた新鮮な午後は永遠に来ないかのように感じられている。
静謐 ではあるが、切実でひりひりする「いま」が書きとめられている。「ビール呷 るザハ案でない方の未来」。批判的視線もしたたか。連作を連ねた編集の句集ではあったが、一句一句それぞれの独立性は高い。
- 略歴
- 平成7年千葉県生まれ。中学時代に句作をはじめ、平成25年第16回俳句甲子園(全国高等学校俳句選手権大会)にて優勝。同27年第7回石田波郷俳句新人賞、同30年第2回円錐新鋭作品賞夢前賞受賞。令和3年俳句同人誌「ねじまわし」を共同創刊。
- 主な作品等
- (共著)「AI研究者と俳人」「天の川銀河発電所」「新興俳句アンソロジー 何が新しかったのか」ほか
美術A部門
提供:艸居
漆彫刻家 青木 千絵(あおき ちえ)
撮影:木奥恵三 提供:岐阜現代美術館
- 「闇へ研ぐ-青木千絵の造形と漆-」展の成果
- 青木千絵氏は、工芸と彫刻を横断する独自の人体表現を展開している。令和7年秋に岐阜現代美術館で開催された個展「闇へ研ぐ」では、研ぎによって生まれる漆黒の鏡面をもつ作品群が、人体の普遍的な美と漆表現に内在する膨大な時間性を鮮烈に立ち上げた。その造形は官能性を持ち、
観 る者自身を作品へと投影させ、感覚を深く揺さぶる。効率や即時性が支配する現代において、これからの手仕事の意味と人間表現の新たな可能性を示した。
- 略歴
- 昭和56年岐阜県生まれ。金沢美術工芸大学大学院で博士(芸術)取得。現在同大工芸科准教授。等身大の身体と抽象形態を融合させた漆作品を制作。主な展覧会は平成30年「孤独の身体」、令和3年「融体化する身体」(以上、艸居)、同4年「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」森美術館、同5年「沈静なる身体」SOKYOATSUMI、同7年「闇へ研ぐ-青木千絵の造形と漆」岐阜現代美術館。作品は金沢21世紀美術館、国立工芸館、ミネアポリス美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館、他多数の美術館に収蔵。
- 主な作品等
- 「BODY-内と外-」「BODY 06-1」「BODY 08-2 昇華」「BODY 10-1」「ドローイングから 18-1」「BODY 20-1」「Drawing #1」「BODY 21-6 空虚の影」「BODY 22-3-宙を懐く」ほか
アーティスト・美術家 玉山 拓郎(たまやま たくろう)
撮影:大町晃平
- 「玉山拓郎:FLOOR」展ほかの成果
- 玉山拓郎氏は、既存の建物や身近なものに光や映像、音を組み合わせ、空間全体を異化するインスタレーションを手掛けてきた。豊田市美術館の「玉山拓郎:FLOOR」展は、内と外の境界やスケール感を揺さぶり、見知った空間を見知らぬ空間へと変容させた大規模な試みだった。展示室で巨大な謎の構造物と出会った観客は、やがてそれが建物全体に
貫入 していることに気付く。谷口吉生 氏の名建築への意表を突くアプローチ、驚くべき着想を形にする精緻な思考と実行力は高く評価される。
- 略歴
- 平成2年岐阜県生まれ。東京都在住。愛知県立芸術大学を経て、同27年に東京藝術大学大学院修了。身近にあるイメージを参照し生み出された家具や日用品のようなオブジェクト、室内空間をモチーフに、鮮やかな照明や音響を組み合わせたインスタレーションを制作。最小限の方法で空間を異化、あるいは自然の理を強調することで、鑑賞者の身体感覚や知覚へと揺さぶりをかける。近年の主な展覧会に、「CIRCULATION -サーキュレーション - produce by POETRY Théâtre FAUCET NAGOYA」(名古屋市松重閘門、令和7年)、「Intervenes / Light and Table / Sound as Time / Hole」(ANOMALY、同年)、「玉山拓郎:FLOOR」(豊田市美術館、同年)など。
- 主な作品等
- 「Anything will slip off / If cut diagonally」「Static Lights: Tilt and Rotation」「Museum Static Lights: The National Art Center, Tokyo」「2 Plates with Spaghetti」「Models (Pair, 6 sets, 12 rings) Art Collaboration Kyoto Special Program 「Ladder Project powered by Daimaru Matsuzakaya」企画監修:山峰潤也」ほか
美術B部門
音楽家・サウンドアーティスト evala
Photo: Ryuichi Maruo
養老天命反転地・楕円形フィールドでの制作風景より
©1997 Reversible Destiny Foundation.
- 「evala 現われる場 消滅する像」展 ほかの成果
- 令和7年のevala氏は、緻密に制御された美術館空間とオープンな野外建築という対照的な場で、聴覚体験の可能性を大きく拡張した。ICCで開催された大規模個展「現われる場 消滅する像」では、広大な展示空間を「空間的作曲」によって変容させる新作インスタレーションを多数発表し、知覚の境界が融解する場をつくり出した。さらに「
養老 天命反転中 ! Living Body Museum in Yoro」では、音、身体、美術が有機的に絡み合ったパフォーマンスで、場所の記憶と身体感覚を揺さぶる新たな風景を出現させた。
- 略歴
- 京都府生まれ。「耳で視る」という新たな聴覚体験を創出するプロジェクト「See by Your Ears」を主宰。既存のフォーマットに依拠しない立体音響システムを駆使 し、その場所固有の響きの中で音を編み上げる独自の“空間的作曲”によって、無響 室から庭園、廃墟、公共空間、美術館や劇場まで多様な空間で、聴覚の潜在的な可 能性をひらくサウンドアートを展開する。アルス・エレクトロニカ2025 冨田勲特別賞 受賞。
- 主な作品等
- 「Sea, See, She ‒ まだ見ぬ君へ」「聴象発景」「Sprout」「Studies for」「Inter-Scape」「Score of Presence」「Grass Calls」「void-inflection」「大きな耳をもったキツネ」ほか
建築家
永山 祐子(ながやま ゆうこ)
©OMOTE Nobutada
©OMOTE Nobutada
- 大阪・関西万博における二つのパビリオンほかの成果
- 令和7年、永山祐子氏は、大阪・関西万博のウーマンズ パビリオンとパナソニックグループパビリオンを手掛け、初の単著と作品集を刊行した。注目すべきは、ウーマンズ パビリオンでは、様々な規制をクリアし、氏がデザインアーキテクトを務めたドバイ万博日本館の
組子 ファサードのリユースを実現したこと。連続した万博で同じ部材が転用されるのは史上初だろう。しかも二つのパビリオンのファサードは、2027年国際園芸博覧会の異なる出展施設で再利用することも、万博の会期中に決定した。先駆的な循環型プロセスの試みとして高く評価できる。
- 略歴
- 昭和50年東京都生まれ。昭和女子大学生活美学科を卒業後、青木淳建築計画事務所を経て、平成14年永山祐子建築設計設立。「光」や「現象」をテーマに、空間体験を重視した設計で評価を得ている。その活動は建築にとどまらず、インテリア、展示構成、プロダクトデザインなど多岐にわたる。JIA新人賞、東京建築賞優秀賞、照明デザイン賞最優秀賞、World Architecture Festival 2022 Highly Commended、iF Design Award 2023 Winnerほか、受賞歴多数。
- 主な作品等
- 「LOUIS VUITTON 大丸京都店」「豊島横尾館」「ドバイ国際博覧会日本館」「玉川髙島屋S.C. 本館1Fグランパティオ」「JINS PARK 前橋」「東急歌舞伎町タワー」「AOI CELESTIE COFFEE ROASTERY」、(著書)「建築から物語を紡ぐ」「建築というきっかけ」ほか
メディア芸術部門

漫画家 龍 幸伸(たつ ゆきのぶ)
- 「ダンダダン」の成果
- 平成22年にデビューし数々の作品を描いてきた龍幸伸氏が、掲載誌を変え、令和3年に満を持して挑んだ作品が「ダンダダン」である。本作に至るまでの歩みは、マンガ業界においては「遅咲き」とも言えるものであった。しかし、その時間のもたらした成熟があったからこそ、オカルトとSF、青春と恋愛、恐怖と笑いを自在に融合させる破格の表現を可能にしたのであろう。物語の随所には「まさか」と思わせる展開が仕掛けられ、卓越した作画力と相まって、作品全体から圧倒的なエネルギーが
迸 っている。氏の稀 なる才能が「ダンダダン」で解き放たれたことはマンガ界にとって僥倖 であり、今後の更なる進化が期待される。
- 略歴
- 平成22年に月刊少年マガジン(講談社)にて「正義の禄号」で連載デビューを果たす。同作を同23年まで連載した後、同じく月刊少年マガジンで「FIRE BALL!」を同25年から同26年年まで発表。少年ジャンプ+で令和3年より連載されている「ダンダダン」は国内外から高く評価を受けている。同作は同6年からTVアニメ化された。
- 主な作品等
- 「FIRE BALL!」「正義の禄号」

声優 花江 夏樹(はなえ なつき)
- 『劇場版「
鬼滅 の刃 」無限城 編 第一章猗窩座 再来』竈門炭治郎 役ほかの成果 - 世界的に盛り上がりを見せた『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』で主役・竈門炭治郎を熱演して作品を
牽引 した。炭治郎の頑張りに励まされた観客も多いだろう。さらにTVでも「ダンダダン」のメインキャラクターであるオカルンを筆頭に多数の作品に出演し、「劇場版 チェンソーマン レゼ篇」「ホウセンカ」では印象的な役柄で、主人公とは違う魅力も見せた。この充実したパフォーマンスと、その魅力が更に深まっていくことを期待して新人賞を贈る。
- 略歴
- 平成3年神奈川県生まれ。アクロスエンタテインメント所属。平成23年アニメ「ゴールデン☆キッズ」で声優デビュー。感情表現の幅広さと繊細な演技力で注目を集め、次第に多くのメインキャラクターを担当するようになる。同26年には「アルドノア・ゼロ」界塚伊奈帆役、「東京喰種トーキョーグール」金木研役、「四月は君の嘘」有馬公生役などを務め、同年の第9回声優アワード新人男優賞を受賞。令和元年には「鬼滅の刃」竈門炭治郎役で第14回声優アワード主演男優賞を受賞した。
- 主な作品等
- 「ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション」(リドル・ローズハート役)「SAKAMOTO DAYS」(南雲役)「ブルーロック」(二子一揮役)「東京リベンジャーズ」(九井一役)「進撃の巨人」(ファルコ役)「ハイキュー!! TO THE TOP」(星海光来役)「ダイヤのA」(小湊春市役)
放送部門

プロデューサー 新井 順子(あらい じゅんこ)
- 「海に眠るダイヤモンド」の成果
- 新井順子氏がプロデューサーを務める「アンナチュラル」や「MIU404」は多くの支持を集めてきた。「海に眠るダイヤモンド」はその集大成である。昭和30年代の長崎県
端島 端島と現代の東京。二つの時代を行き来しながら、それぞれの「場」に生きる人々の現実や心情を描いていく。戦争、原爆被爆、産業問題といった風化させてはならない事実を取り込み、“ネオ社会派”ともいえる秀作となった。
- 略歴
- 大阪府出身。制作進行・助監督・アシスタントプロデューサーを経て、平成20年愛の劇場「ラブレター」でプロデューサーデビュー。以後、TBSを中心に数々のドラマを世に送り出す。 令和6年には、自身初となる映画作品「ラストマイル」を手掛け、ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の世界線を繋ぐシェアード・ユニバースを展開した。 同作で第49回エランドール賞プロデューサー賞を受賞。
- 主な作品等
- (ドラマ)「夜行観覧車」「Nのために」「リバース」「アンナチュラル」「中学聖日記」「Aではない君と」「MIU404」「着飾る恋には理由があって」「最愛」「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」「下剋上球児」、(映画)「ラストマイル」

脚本家・お笑い芸人 バカリズム
- 「ホットスポット」の成果
- バカリズム氏はお笑い芸人として活躍する傍ら、近年脚本家として頭角を現し、テレビドラマ「架空OL日記」、「ブラッシュアップライフ」に続いて、「ホットスポット」で高い評価を得た。氏の脚本の特徴は、突飛な設定を用いながらも、リアルな日常会話を通して女性たちの友情や連帯を生き生きと描く点にある。独特な笑いのエッセンスが散りばめられた脚本は幅広い視聴者を
惹 き付け、テレビドラマの活性化にも貢献しており、更なる活躍が期待される。
- 略歴
- 昭和50年福岡県生まれ。平成7年「バカリズム」を結成。同17年12月よりピン芸人として活動。現在、TVレギュラー番組を中心に活動するかたわら、定期的に単独ライブを行っており、チケットは発売と同時に即完売となる人気を誇る。他にも脚本家、俳優など多方面で活動中。
- 主な作品等
- (ドラマ)「素敵な選TAXI」「架空OL日記」「ブラッシュアップライフ」「住住」ほか、(映画)「地獄の花園」「ウェディング・ハイ」ほか
大衆芸能部門

太神楽曲芸師 翁家 和助(おきなや わすけ)
- 寄席の
定席 における太神楽曲芸の成果 - どのような出番で高座に上がっても、きちんと存在感を示し、後に上がる落語家の邪魔をしない。わきまえた芸が芸人仲間から高い評価を得ている。国立劇場の太神楽研修生第1期生で、研修終了後は落語協会に所属し、寄席には欠かせない太神楽芸人として実績を積み上げた。芸に対する取組は先鋭的で、扇子をアクロバティックに組み込んだ芸を3年がかりで開発するなど、新時代の太神楽芸を常に模索し続けている。今後の飛躍も期待できる逸材である。
- 略歴
- 昭和52年東京都生まれ。平成7年国立劇場第一期太神楽研修開始。同10年同研修修了。落語協会にて前座修業開始。翁家和楽に入門。芸名「翁家和助」。同11年前座修業修了。同18年文化庁ラオス公演に参加。同20年文化庁カンボジア公演に参加。同19年度国立演芸場花形演芸大賞金賞受賞。
- 主な作品等
- 定席寄席公演(鈴本演芸場、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場)ほか
浪曲師 玉川 太福(たまがわ だいふく)
新宿末廣亭 の主任興行における成果- 令和7年1月
下席 、新宿末廣亭で、玉川太福氏は浪曲師としては約60年ぶりにトリを務めた。連日大入り満員、正に祝祭の日々だった。ネタは多岐にわたり「陸奥 間違 い」や一門のお家芸・天保水滸伝 「笹川 の花会 」といった古典、自作の「地べたの二人」、同氏が生涯の仕事として取り組んでいる映画寅 さんシリーズの「寅次郎夕焼け小焼け」などで観客をわしづかみにした。演芸史に刻まれる興行として高く評価したい。
- 略歴
- 昭和54年新潟県生まれ。放送作家やコントユニットの活動を経て、平成19年二代目玉川福太郎に入門。同25年10月名披露目。「清水次郎長伝」「天保水滸伝」等の古典演目を継承しながら、現代口語演劇の要素と浪曲とを融合させた「地べたの二人」シリーズや日常のエッセイに節をつけた「身辺雑記浪曲」など、独自の創作浪曲に力を注ぎ、映画「男はつらいよ」全作浪曲化にも取り組む。第72回文化庁芸術祭・大衆芸能部門新人賞、第37回浅草芸能大賞・新人賞など受賞多数。日本浪曲協会、落語芸術協会所属。
- 主な作品等
- 主な古典演目として「天保水滸伝」「清水次郎長伝」「赤穂義士伝」、新作浪曲として「地べたの二人」「身辺雑記浪曲」「サカナ手本忠臣蔵」、映画「男はつらいよ」シリーズ浪曲化(山田洋次監督、松竹株式会社許可のもと)ほか
芸術振興部門
映画作家・演出家 牧原 依里(まきはら えり)
photo by 加藤 甫 Hajime Kato
©2025 Deaf Arts Society of Japan
Photo by 高瀬航生 kouki Takase
- 「黙るな 動け 呼吸しろ」ほかの成果
- 構成・演出を担当した舞台作品「黙るな 動け 呼吸しろ」では、ろう者と聴者の感覚や言語の違い(手話言語と音声言語)を背景とする社会課題が可視化され、社会と芸術を架橋するとともに、違いを超えて他者とつながる新たな芸術回路を創出し、芸術文化の公共性の在り方を更新した。また「手話のまち 東京国際ろう芸術祭2025」(総合ディレクター)では、これまでに構築した国内外のネットワークを
活 かし、ろう者の文化や芸術表現を社会に開く活動を幅広く展開した。
- 略歴
- 昭和61年神奈川県出身。ろう者。作品形態は多様で、現象を可視化する装置を提示することで、この世界の社会構造を浮かび上がらせる試みを行っている。ろう者の音楽の概念を問い直す映画「LISTEN リッスン」にて、第20回文化庁メディア芸術祭アート部門・審査員推薦作品に選出。恵比寿映像祭2025コミッション・プロジェクトファイナリスト。〈次世代の国際共同制作・海外ツアー促進プロジェクト〉育成対象者。平成29年に東京国際ろう映画祭を立ち上げ、以降、ろう・難聴当事者の人材育成に注力。令和4年より、ろう者の俳優・制作者育成事業を継続し、同5年からは手話を拠点とするワーキング・プレイス「5005」を共同運営している。
- 主な作品等
- (映画)「LISTEN リッスン」「田中家」(レクチャーパフォーマンス)「聴者を演じるということ 序論」(映像インスタレーション)「三つの時間」(映画祭)東京国際ろう映画祭ほか
ビジュアル・アートディレクター 山重 徹夫(やましげ てつお)
- 「
中之条 ビエンナーレ2025」の成果 - 中之条ビエンナーレは、群馬県中之条町で隔年開催される芸術祭で、令和7年に10回目を迎えた。立ち上げから20年を経て、あらゆる年齢層の地域住民に愛される芸術祭へと成長し、本展を契機に同地へ拠点を移す作家も現れるなど、地方都市におけるクリエイティブなコミュニティーの形成に寄与した。総合ディレクターとして設立当初から本事業を
牽引 する山重徹夫氏は、作家自身の主体的な参画を促すような企画運営を通じて、地域社会と作家たちをつなぐ芸術祭の在り方を切り拓 いた。
- 略歴
- 昭和50年広島県生まれ。多摩美術大学を卒業後、都内デザイン会社で制作ディレクターを務める。独立後は多くの企業で幅広いメディアのデザインワークを担当。平成18年より地域独自の視点から芸術文化を発信することを目的に、中之条ビエンナーレを立ち上げ、総合ディレクターを務める。その後、クリエイティブコミュニケーションセンターtsumujiをプロデュース、地域特性を活かした商品デザインや企画などを展開。現在は地域ブランディングや国際芸術交流など、群馬県を軸に文化振興事業を行っている。
- 主な作品等
- 「SUBARU X ART OTACITY EXHIBITION」「ビエントアーツギャラリー」「富士の山ビエンナーレ」「逗子アートサイト」「ECHOS OF LIGHT(フィリピン)」「FROMTHE GROUND(タイ)」「WALK ON THE SEA(中国)」ほか
評論部門

国際日本文化研究センター特任助教 ザヘラ・モハッラミプール
- 「「東洋」の変貌 近代日本の美術史像とペルシア」の成果
- 日本語の「東洋」はオリエントの単純な訳語ではない。好奇心旺盛な近代日本の知性が「東洋」を拡大させていった。中国からインドへ。もっと先へ。日本と強くつながればそこは「東洋」。1929年、
帝室 博物館(現東京国立博物館)はその範囲を「ペルシャの辺」にまで広げる。カギを握ったのは法隆寺の蔵 する「四騎獅子狩文錦 」。探偵役は建築家の伊東忠太 や歴史学者の黒板勝美 。彼らが、遠すぎると思われていたイランを、ぐいぐい日本に寄せていく。その展開は上質な推理小説を思わせる。ザヘラ・モハッラミプール氏は「東洋」概念拡張史としての近代日本文化芸術史を今後もっと掘り下げてくれるだろう。
- 略歴
- 昭和63年テヘラン生まれ。平成26年より東京大学大学院に留学。令和5年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻にて博士号(学術)取得。日本学術振興会外国人特別研究員(国立民族学博物館)などを経て、現在国際日本文化研究センター特任助教。専門は比較文学・比較文化。
- 主な作品等
- (共著)「中東・イスラーム世界への30の扉」「近代日本と中東・イスラーム圏:ヒト・モノ・情報の交錯から見る」

